秘湯の旅日記(6)新島、式根島、神津島(東京都) |
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*1996年2月9日(金) 東海汽船に乗る。 竹芝棧橋→新島22:00竹芝棧橋発東海汽船で一路新島へ向かう。海少々うねりがあって少し酔う。 *1996年2月10日(土) 新島→式根島→新島・新島に着き、湯の浜露天風呂へ 朝8時に新島黒根港に着いたが、長い夜の船旅で、充分眠れたとはいえない。なんだか、ぼーっとした感じで、島に上がった。宿に向かって海岸沿いを歩き出したが、前方に奇妙な建造物が見えてきた。ギリシャのパルテノン神殿のような造りだ。それが、海岸端にある「湯の浜露天風呂」だとわかって驚いた。船旅の汗を流そうと、誰もいなかったので、裸になって入浴したが、後で水着が必要だったことを知る。しかし、実に開放的で、ユニークな露天風呂だ。 ★湯の浜露天風呂に入浴する。<入浴料 無料>
・本村の流人関係遺跡を巡る その後、徒歩でしばらく歩いて今日の宿“新島温泉ロッヂ(間々下温泉)”に入り、荷物を置いて、一時休憩することにした。少し横になって休んでてから、10時頃に宿を出て、本村の中の流人関係史跡を回ってみた。明治時代より前は、島流しの刑というのがあり、多くの罪人が伊豆の島々へ流されてきたという。流人の墓は至る所に見られるが、長栄寺の墓には新鮮な花が色取り取りに活けてあり驚いた。なにか祭礼でもあるのかと、花を活けているお婆さんに聞くと、別に特別なことではなく年中花を絶やさないようにしているという。島の人々の思いやりの心に感心した。よく見てみると、さいころや酒樽の形をした流人墓があって、当時の流人の思いがしのばれた。
11時20分発の村営連絡船で式根島に向かい、10分ほどで式根島野伏港へ到着した。この島は、もともとは新島と一つだったのが、およそ200年前の大津波で分離してしまったと聞く。港前の店でレンターサイクルを4時間借りて島内を一周することにした。まず、神引山展望台へ行ってみたが、ここからの眺望はすばらしかった。しかし、風の強いのには閉口した。その後、式根島港近くの雅(みやび)温泉の露天風呂に入ろうと思ったが、見ると皆水着で入っているので、街まで戻って海水パンツを買ってきて入浴することとなった。雅温泉の方は地鉈温泉から引き湯の硫化鉄泉でいつでも入れるが、そこから少し離れた足付温泉は海底から湧き出す炭酸泉の野天風呂でとてもワイルド、カップルとともにいつも入浴しているという地元のおじさんからいっしょに入りながら話を聞かせてもらった。ほんとうに自然の中の露天風呂でとても気分がよかった。ただ、時間の関係で、地鉈温泉のほうに入ることができなかったのが返す返すも残念だった。 ★雅温泉、足付温泉の露天風呂に入浴する。<入浴料 無料>
16時発の村営連絡船で新島に戻り、「新島温泉ロッヂ」に帰った。そこでまた、宿の温泉(強食塩泉)に入る。今日は一日中温泉三昧だ。その後は、夕食に出された海の幸を食べながら、冷やでお酒をたのんで、飲みかつ食べて大いに満足して寝てしまった。
*1996年2月11日(日) 新島→神津島・神津島へ向かう 新島港8時10分発の東海汽船で神津島に向かったが、風の関係で反対側の多幸湾へ着いてしまった。その日の風向によって、着く港が変わるのはよくあることらしい。しかし、予約してあった“山下旅館別館”の出迎えの車が来ていて、それに乗って宿へ入って、少し休憩した。10時過ぎに宿を出て、まず、郷土資料館を訪ねて、島の概略と歴史についての知識を得た。それから少し歩いて、ジュリアの墓へ行ってみた。朝鮮貴族の娘で、戦国のキリシタン大名小西行長の養女となり、のちに大奥へ仕えることとなったが、徳川家康のキリシタン禁令に触れて、神津島へ流されここで、殉教の生涯を終えたといわれる。昼時になっていたので、新鮮な魚を食べたいと思い、寿司屋に入った。腹を充分に満たしてからは天上山へ登ることにした。 ・天上山に登る 黒島登山口から登り始めたが、とても険しくて一気には登れない。途中何度か息つき休憩を余儀なくさせられた。あまりにきついのでやめようかとも思ったが、下方の眺望は天候も良くてすばらしい。それを救いになんとか頂上までたどりついた。山頂は思ったよりひらけていて歩きやすい。途中、表砂漠、裏砂漠というのがあり、花崗岩が風化した荒涼とした風景が広がっている。とても、小さな島の中とは思えないような特異な空間だった。展望台からは伊豆七島が一望出来、そのすばらしさにしばしみとれていた。この景観を見れただけでも今回の旅の収穫があったという感じがする。不動池のところは水が枯れていた。そこで群馬ハイキングの一行と出会ったが、どうやら同じ船で、この島へ着いたようだ。帰路は、白島登山口から下山し、その足ですばらしい露天風呂があると聞いた「神津島温泉保養センター」に向かうが、道のりはとても長く1時間以上かかってへとへとになってしまった。
やっとの思いで「神津島温泉保養センター」に到着し、先ず、水着を付けて海岸の露天風呂に入った。しかし、小露天風呂も大露天風呂もぬるく、結局高台にある展望露天風呂に入ることになった。先に群馬ハイキングのおばさん達が入浴していて、混浴状態となり少し話を交わした。後は、館内に戻って、再び内湯に入って体を洗い、歩いて宿に向かった。 ★神津島温泉保養センターに入浴する。<入浴料 700円>
夕食は地元の魚料理で量もあって良かった。少々酒を 飲み、一眠りしてから深夜にこの宿の温泉に入ったが、広々とした浴槽に一人で浸かっているのもいいもんだ。入浴後は再び床に入って寝てしまった。
*1996年2月12日(月) 東海汽船で帰途に着く。 神津島→竹芝棧橋・帰途に着く 翌日は10時40分発の東海汽船で帰途に着いた。船中で神津島の画家といっしょになり色々と話をしながら時間をつぶしたが、波は穏やかで揺れは少なかった。ほんとうに今回の旅は温泉に始まり、温泉に終わったような旅だったがとても満ち足りた気分だった。 |
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