秘湯めぐりの旅(17)

<西吉野温泉−奈良県>

1998.3.1-2


専用道路を走るJR西日本バス

*1998年3月1日(日) 

・しばし五条の町並みを散策

  JR和歌山線五条駅には、15時過ぎに到着し、バスの発車時刻まで40分弱の時間があったので、歩いて新町通りまで行き、旧紀州街道沿いの町並みを巡ってみることにした。ここには、なかなか古風なたたずまいが残っていて、何枚もシャッターを切ることができたが、重要文化財指定の栗山家が非公開となっていたのは残念だった。

・JRバス専用道路を行く

 JR西日本バスには戎神社前から乗って、西吉野村を目指した。途中からは新線建設を断念した線路敷用地を使ったJRバス専用道路を進んでいく。城戸駅までの間はさながら線路の上を走っているような感じで、所々にみごとな梅園があるのが強く印象に残った。今は梅の見頃なのだ。城戸駅には宿のバスが迎えに来てくれたが、まだ日があったので、それを断って徒歩で宿に向かうことにした。深い渓谷となっている丹生川沿いに、山村の暮らしぶりを見ながらゆっくり歩いて20分ほどで村営「にしよしの荘」に着いた。

・村営の日帰り入浴施設「きすみ館」へ

 川沿いの鉄筋コンクリート3階建てで、その奥の山際に新しい変わった形をした建物が見られる。受付で聞いてみると村営の日帰り入浴施設となっているセミナーハウス「きすみ館」とのことで、割引券をくれるというので、部屋に荷物を置いてすぐに、行ってみることにした。大きな新しい浴槽に浸かり、のんびり浸かって、長かった旅の疲れを癒して宿に戻ってきた。まだ、夕食までには時間があるとのことなので、宿の温泉に入り直し、部屋で休んでいた。今日は、この辺の高校の卒業式があり、ここで謝恩会でもやるのか、男女の高校生が出入りしてなにやら準備していて、なんだかなつかしい気分となった。まもなく夕食となり、冷やでお酒をたのんで、おおいに飲みかつ食べて満足し、後は部屋に戻って、テレビを見ながら寝てしまった。(注:「にしよしの荘」は2004年4月1日より休館中







村営セミナーハウス「きすみ館」のデータ
利用料金 大人600円、小人(3才以上12才未満)300円
営業時間 午前10時〜午後6時、毎週第4月曜日と年末年始休館
住所、電話 〒637-0230 奈良県吉野郡西吉野村城戸650 TEL(07473)3-0194
交通 JR和歌山線五條駅よりJR西日本バス城戸行き30分終点下車後徒歩20分
村営の日帰り入浴施設「きすみ館」

☆にしよしの荘に泊まる。<1泊2食付8,040円(込込)>





源泉名 西吉野温泉
湧出地 奈良県吉野郡西吉野村城戸
湧出量
知覚
泉質 Na・Ca(Mg)-塩化物・炭酸水素塩泉
泉温分類 16.5℃(冷鉱泉)
pH値 ? 
液性分類
溶存物質総量 11,327r/s
浸透圧分類 高張性
村営宿泊施設「にしよしの荘」の外観
宿


村営にしよしの荘のデータ <2004年4月1日より休館中>
標準料金 1泊2食付 7,000〜10,000円(込別) 
定員 20室 70人
住所、電話 〒637-0230 奈良県吉野郡西吉野村城戸430 TEL(07473)3-0225
交通 JR和歌山線五條駅よりJR西日本バス城戸行き30分終点下車後徒歩20分(送迎あり)
にしよしの荘の夕食 にしよしの荘の朝食

周辺の早春の植物

*1998年3月2日(月) 

西吉野温泉周辺の梅林

・早朝の散歩

  朝6時半に起床し、7時過ぎから朝の散歩に出かけた。先ず、山道を梅の咲いている方へどんどん上っていった。野鳥のさえずりが、聞こえてくるが、それに混じって、ほととぎすの声が聞こえる。梅にほととぎすとは一服の絵画をみるような情景なのだが、3月初旬の紀伊山中はまだまだ寒い。のんびり鑑賞という気にはなれなくて、歩き続けて、寒さを紛らすしかない。すると、近くの木から一匹の小動物がすべり降りた。「リスだ!」思わず叫んでしまったが、目と鼻の先をすばしっこく谷間へと下りていった。あわててカメラを構えたが、すでに姿は木々の影に隠れてしまった。ほんとうに一瞬の出来事だったが、こういうのが朝の散歩の楽しみなのだ。引き続き、坂を上がっていったらとある民家の前で道が途切れてしまった。谷の向こう側には人家があるものの道は通じていないようだ。仕方ないので、来た道を引き返し、谷の向こう側にも回ってみることにした。今度は舗装された2車線の立派な道を上へ上へと上がっていったが、この車道も数軒の民家の間の空き地で途切れてしまった。そこが、ゲートボール場となっているところが現代的だ。そこから先は谷に向かっているが、梅の木々がきれいな花を咲かせている。紅や白の彩りが誘いかけているようにみえたので、人一人やっと通れる小道を見つけて谷間へ下りていった。風は冷たく、まだ冬の余韻を残しているが、その谷には梅や椿の花が咲き、春の訪れを告げているかのようだ。鳥のさえずりも聞こえ、桃源郷といった雰囲気だ。しばしば、足をとめ、谷間の方へ向かってシャッターを切った。小道を下りきると、きすみ館の脇へ出てきて、宿まではすぐの距離だった。小一時間の散策だったが、花や鳥を愛でながらの心地よいものとなった。

・朝風呂と朝食

西吉野温泉に上がる湯煙

 朝の散歩の余韻を楽しみながら、朝風呂へと向かった。冷えた体が徐々に回復していくのが、温泉の効能の一つなのだ。その効果が確かめられるように、爽快な気分が広がっていく。とても良い気分で湯から上がってきて、すぐに食堂での朝食となった。寒い時期の平日の朝だというのに十数名の泊まり客がいて、銘々に談笑しながらテーブルを囲んでいる。若いカップル、中年の家族連れ、フルムーンカップルなど多彩だ。聞こえてくる話の内容から、どうやら賀生名の梅園を訪れる人々のようだ。ここら辺は梅の名所であることを再認識させられた。隣のフルムーンカップルと言葉を交わしながら楽しく食事をしたが、「これから加太の方へ向かう。」と言っていた。食事後は部屋で旅日記を認めて、9時前に宿を出立することにした。

・再びJRバスで五條駅へ

 城戸のバス停まで宿のマイクロバスで送ってもらうことにした。運転手に聞くと、夏の避暑客が一番多いと言う。旧国鉄が熊野の方まで鉄道を引こうとして、ここまでは工事が出来たが、鉄道を通すことができず、その線路敷を専用道としてJRバスを走らせているとのことだった。バスはまるで線路のないワンマンカーといった雰囲気で走っていく。単線の用地なのですれ違いは途中駅でできるようになっているし、他の道路との交差点には虎柵が設けてあって、鉄道に準じている。沿線には梅の木が多く紅や白の花が満開で今が見頃だ。車窓から何枚かの写真をものにした。そうこうしているうちに山間部を過ぎて、終点五條駅が近づいてきたが、30分程の行程だった。JR和歌山線にはすぐ接続していて、ほどなくして9時45分発奈良行の2両編成ワンマンカーがやって来た。 

旅日記(4)<葛城古道を歩く---奈良県>へ続く

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