秘湯めぐりの旅(23)

<夏山温泉−和歌山県>

1999.9.12-13


那智の滝

*1999年9月12日(日) 那智山→勝浦湾→夏山温泉

・那智の滝に感動! 

 那智駅交流センター「丹敷の湯」から、今度は山に向かい、那智の滝に向かって車を走らせた。いくつものカーブを曲がりながら、どんどん高度を上げていったが、さすがに名所だけあって、道路は観光バスも通れるようになっている。そのうちに、前方に、大きな鳥居が見えてくるが、その近くの有料駐車場に入れて、後は歩いていく。滝に近づくにつれて、大きな滝音と共に、その巨大な水柱が姿を現してくる。まさに雄大、豪壮、古来から多くの信仰を集めるだけのことはある。もう何度目かの訪問になるが、そのあまりもの勇姿に思わず足が止まり、見上げて「ほっー」とため息が出る。見れば見るほどすごいのだ。好奇心から、さらに近づいて見たくなり、200円也を払って、滝見の展望所へと上っていく。近づけば近づくほどその豪壮さが迫ってきて、展望所からしばしの間みとれていた。

・那智山に思う

 戻ってきて、そのまま徒歩で、那智大社、青願渡寺の方へと登っていった。まだ小学生だった頃、両親と祖母に連れられて、この階段を上がったことがあるが、ずいぶんたいへんだった思いがある。息を切らしながらの進んでいくと、次第に眺望が良くなり、右手に朱塗りの五重の塔が見えるようになってきた。そばに寄ってみると、その後方に、さっきの那智の滝が見られ、一幅の絵画を見るようだ。そういえば、よく絵葉書や観光ガイドに載っているのはこのアングルなんだと気が付いた。それから、西国1番札所青願渡寺を参拝し、その並びにある那智大社に詣でた。こういう寺社仏閣の常だが、明治維新期の神仏分離令の影響を受けている。かつては同じ建物に祭られていたものが、強制的に分けられたのだ、その時各地でおびただしい文化財が破却されたことを思うと、政治と宗教のあり方を考えさせられる。宝物館を見学してから、再び長い表参道の階段をてくてくと下ってきた。両側には土産物屋が立ち並んで、呼び込みをしているが、あまり観光客は多くなく、手持ちぶさたのようだ。

那智大社の拝殿 五重塔と那智の滝
紀の松島巡り

・紀の松島巡りの観光船に乗る

 再び車に乗って、山を下りると、勝浦港を目指した。観光桟橋近くに駐車し、紀の松島巡りの観光船に乗船しようというわけだ。学生時代にも一度乗ったことがあるが、その時と比べるとずいぶん船が大きくなっているように見えた。たしか、洞門くぐりが名物となっていたはずだが、この大きさでくぐれるのだろうかと疑問に思った。出航してみてわかったが、洞門をくぐらず脇をすり抜けるコースに変更されていたのだ。湾外に出ると波も高くなるが、船が大きいので揺れも少ない。ホテル浦島の一連の大きな建物が望まれ、名物の大洞窟温泉がぽっかりと穴を開けている。外海から再び、湾内に戻って、島の間をぬっていくが、その一つにラクダの形をしたのがあった。そのそばに、温泉が沸いていて、露天風呂が造られている。船でしか訪れることの出来ない、秘湯中の秘湯の一つだ。その後、太地の鯨博物館近くに寄港して、元の桟橋へと戻ってきた。

・梶取崎から太平洋を眺望

 再び車を走らせて、今度は太地半島の方へ向かっていったが、風光明媚な勝浦湾が左側に展開している。鯨博物館はもう閉館間際なので、そこを通り過ぎ、太地漁港を抜けて、野球の三冠王、落合博満記念館へ行ってみた。しかし、開館していたものの、あまりに入館料が高いので、断念して梶取崎へ車を向けた。そこなら、閉館時間も入館料も関係ない。車を空地に停め、芝生を横切って、梶取埼灯台の方へ歩いていった。その先は、断崖絶壁になっていて、太平洋が眺望できるのだ。海のない県に住んでいるとこういう雄大な海の景観にあこがれる。しばしの間、遠景に目をやり、波の輝きを見つめていた。さあて、そろそろ宿へ向かうかと、傾きかけた夕日を見やりながら、車に戻って、来た道を引き返し、夏山(なつさ)温泉を目指した。

梶取埼灯台 梶取崎の断崖絶壁

・懐かしさを感じさせる宿

 国道42号線から看板を目印に右折して、海岸の方へ下っていったら、紀勢本線の線路脇に一軒宿「もみじや旅館」をみつけた。なんか1960年代の温泉旅館といった懐かしさを感じさせる外観だ。2階の海側の部屋に通されたが、前面の草の生い茂る空地(なんか昔旅館か別荘でもあったという跡地)の向こうに勝浦湾が広がっている。さっそく、荷物を置いて、浴室に行ってみたが、これもこぢんまりしているが、懐かしい感じの浴槽だ。ゆったりと湯に浸かっていたが、とてもやわらかで心地よく、長かった今日一日の旅程を振り返りながら、汗を流した。部屋に戻って、くつろいでいたらほどなくして、夕食が運ばれてきた。新鮮な海の幸に舌鼓を打ち、冷やでお酒を2合ほどたのんで、飲みかつ食べて、心地よい気分となった。後は、テレビを見てから寝てしまった。

☆夏山温泉「もみじや旅館」に泊まる。<1泊2食付 8,000円(込込)>

夏山温泉「もみじや旅館」の外観 夏山温泉「もみじや旅館」の浴室




源泉名 夏山温泉
湧出地 和歌山県東牟婁郡太地町夏山
湧出量
知覚 無色透明
泉質 単純硫黄泉
泉温分類 40℃(温泉)
pH値 ? 
液性分類
溶存物質総量 237r/s
浸透圧分類 低張性
*一般的適応症(浴用)
 
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・運動麻痺・関節のこわばり・うちみ・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え症・病後回復期・疲労回復・健康増進

*泉質別適応症(浴用)
 
きりきず・慢性皮膚病・慢性婦人病・糖尿病
宿


夏山温泉「もみじや旅館」のデータ
標準料金 1泊2食付 8,000〜12,000円(込別) 
入浴料金 大人:300円 小人:200円
外来入浴時間 15:00-19:00
宿泊定員 木造2階建 和室10室
住所、電話 〒649-5100 和歌山県東牟婁郡太地町夏山 TEL(07355)2-0409
交通 JR紀勢本線紀伊勝浦駅よりタクシー10分
夏山温泉「もみじや旅館」の夕食 夏山温泉「もみじや旅館」の朝食

*1999年9月13日(月) 夏山温泉→潮岬へ
夏山温泉前の海岸から見た紀の松島

・朝、海岸の散歩へ出かける

 朝起きてから、恒例の散歩に出かけたが、実に静かなところで、波打ち際まで降りていって、磯を歩きながら、勝浦湾を眺めていた。遠景に紀の松島が望め、ここから見る日の出がすばらしいと聞くが、すでに日は昇ってしまった。沖に、小舟が漂っていて、釣り糸をたれている。波が静かに打ち寄せては引いている。その間を小さな蟹が這い回っている。朝のさわやかな空気の中で、風光明媚な海岸線をみつめているのは実に気持ちがよい。何枚もシャッターを切っていたら、結構時間を費やしてしまった。宿に戻って、朝風呂に入り、潮の臭いを洗い流し、さっぱりした所で朝食となった。

・串本へと向かう

 今日は白浜まで行こうと考えているが、道は海岸沿いにただ国道42号線を進むだけなので、そう心配はない。ただ、距離は長いので、早々に荷物をまとめて、車を走らせることにした。左側に太平洋を眺めながら、ひたすらに先端に向かって車を進めた。本州最南端の町、串本へは、5度目の来訪となる。その手前の橋杭岩に小休止し、何枚か写真を撮った後、串本町街の細い路地をぬって、無量寿寺を訪れた。門の脇に大きなソテツが聳えていて、ちょっと変わった感じがする。高校生の時にも一度来たことがあるが、丸山応挙、芦田呂雪のみごとな障壁画がある。墨痕たくましく、虎や竜が躍っていて、すさまじい迫力がある。しばし、見つめながら、感嘆していた。

・樫野埼を巡る

 橋杭岩で小休止したときに、はじめて大島に渡る橋が出来ていることを発見した。それが気になっていたので、障壁画を堪能した後は、今まで行ったことのない大島へ渡ってみるかと、車を進めてみることにした。くしもと大橋を越えて、走り続けると島の東端に樫野埼があり、駐車場から少し歩くと、白亜の樫野埼灯台が立っていた。そこから眺める太平洋は素晴らしく、どこまでもどこまでも広がっていた。しかし、かつてこの沖合で、トルコ軍艦が座礁沈没し、多くの犠牲者が出たとのことで、心が痛んだ。その関係で、遭難記念碑が立ち、トルコ記念館が開設されていたのだ。そこを、見学後は再び橋を渡って、潮岬へと向かった。

樫野埼灯台 トルコ軍艦遭難慰霊碑

・本州最南端の潮岬

 潮岬(しおのみさき)の突端からは、地球が丸く見え、潮岬灯台が、断崖上にそびえていた。ここまで至るとほんとうに日本の果てまで来たという感慨に浸るとが出来る。事実、ここが本州の最南端(北緯33度26分・東経135度46分)で、その最先端の崖の手前に、本州最南端の石碑も立てられている。水平線が丸く見え、地球が丸いのだと実感できる場所なのだ。串本節で「潮岬に灯台あれど恋の闇路照らしゃせぬ」と唄われたことで有名で、岬の先端部は、広大な芝生で覆われているが、かつて海軍の望楼が置かれていたことから、今でも「望楼の芝」と呼ばれていて、現在では、潮岬タワーが建っている。周辺は、海蝕崖となり、磯が広がり、白亜の灯台が佇立していて、カメラの被写体にも事欠かない。海岸線まで下りるには、この崖を下らなければならなかったが、すばらしい海を見つめていた。

潮岬周辺の海食崖 潮岬灯台

・白浜方面へ

 潮岬を後にして、再び国道42号線に復し、西へ少し走って、串本海中公園へも立ち寄った。この沖合に海中展望塔があり、きれいな海を海底からのぞくことが出来るのだ。魚や珊瑚を眼前に見て、気分は上々、海の神秘を垣間見た。その後は、さらに西へ向かって車を走らせ、白浜を目指していった。


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