秘湯の旅日記(41)房総半島の5湯めぐり(千葉県) |
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*2002年2月2日(土) 曽呂温泉→たかつる温泉→菜の花温泉 ・房総半島へと向かう 海の写真を撮りながら、温泉に入りたくなって、急に房総半島へ向かうことにした。朝自宅を立って、渋滞を避けながら、なんとか京葉道路まで出た。その後乗り継いだ、千葉外房有料道路は順調に走ることが出来、そこを下りて、外房の方へと入っていった。 ・茂原市立美術館・郷土資料館を見学 最初に、茂原市立美術館・郷土資料館に立ち寄ることにした。駐車場から茂原公園の中を歩いていったが、弁天池を中心に、約16万平方メートルの敷地があり、市民の憩いの場となっている。園内には桜の木が多い。聞くところによるとにソメイヨシノなど約2,650本が植えられ、「日本さくらの名所百選」に選ばれているとのことで、開花期に来たらすばらしいだろうと思った。到着するまで徒歩10分以上かかったが、1994年(平成6)にオープンした美術館と郷土資料館が併設した施設で、こういうのは県内では珍しいとのこと。美術館の方には、郷土ゆかりの作家を中心に展示していて、特に速水御舟の作品が目を引く。郷土資料館の方は、考古・民俗・歴史の3部門を中心に展示を行っていて、とても勉強になった。 ・勝浦海中公園へ その後、国道128号線を南下して、太平洋岸に出、さらに南へと走る。勝浦市内へ入ってから、海中公園を見学していくことにした。国道から左にそれ、最初に海岸端にある千葉県立海の博物館に立ち寄った。ここは、千葉県立中央博物館の分館で、1999年(平成11)3月にオープンしたとのことで、入場無料というのがいい。館内は、「房総の海の自然」をテーマとした4つのコーナーからなっていて、新しい知見も得ることが出来、なかなか面白かった。それから、海中展望塔へも行ってみたが、一帯はリアス式海岸の自然美あふれる景勝地で、青い海が印象的だ。岩陰から海中に突き出した橋が展望塔につながり、螺旋状に海中へ下りていく。水深約6mに位置する窓から海中をのぞくと、何種類かの魚がゆったりと泳いでいてとてもいい。水族館の中の狭い水槽を泳ぐ魚とは違って見える。やはり、自然の中で観察するのが一番良いのだ。魚を見た後は、周辺の海岸を散策しながら海の写真を撮ったが、今日はまずまずの天気で、シャッターを切る指先も軽い。
それからは、再び国道128号線に復して、曽呂温泉を目指した。国道から少し内陸部に入った山里にある一軒宿の湯治場だ。温泉に行き着く道はとても狭く、車一台がやっとという農道をどん詰まりまで行くとその脇にひなびた2階屋がみえる。宿泊者とは別の日帰り入浴者専用口から入っていくと、右手に休憩室があり、宿の90才になると言うおばあさんが受付をしていた。廊下を進んだ奥に男女別浴室があった。中に入ると、玉子の腐ったような臭いが立ちこめ、浴槽は5〜6人は入れる大きさで、湯は黒ずんでぬるぬるしていた。源泉15℃、pH8.4、容存物質総量1511mg/kgの含硫黄−ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)で、沸かし湯だが、掛け流しで、なんか温泉に入っているという感じがするのだ。おばあさんは創業110年になると言っていたので、それをそのまま信じれば最古かも知れない。しかし、温泉分析書の記載は、1961年(昭和36)のものなので、そんなに古くはない。千葉県内では、旭市にある矢指ヶ浦温泉の方が県から利用許可を受けたのは古く、千葉県の温泉第1号と言われているので、公式にはそちらの方が古いと思うのだが、発見されたのはそれより以前なのかも知れない。ほんとうに、近隣の湯治場という風情で、お湯も独特で気に入った。
★曽呂温泉に入浴する。<入浴料 1,000円>
次に、さらに内陸部に入ったところにある、たかつる温泉「高鶴山荘」(民宿)に入浴した。周囲を低い山に囲まれた、閑静な山里に立地している一軒宿だ。高台に位置し、見晴らしは良いが、長方形の木造2階建で、とてもシンプルな造りになっている。温泉は、男女別の内湯と露天岩風呂(時間制有料貸切 30分800円)がある。私は、入浴料650円を払って、内湯の方に入ったが、タイル貼りの浴室に、長方形の湯船がしつらえてあった。湯は、無色澄明、無臭で、掲示されていた温泉分析書によると源泉は、天津小湊町天津内田588-1の湧出となっているので、隣町から車で運んでいるようだ。低料金で泊まれるシステムになっているとのことなので、家族連れやグループ宿泊して、のんびりと田舎の風景を味わうには良い温泉かも知れない。
★たかつる温泉「高鶴山荘」(民宿)に入浴する。<入浴料 650円>
その後は、国道128号線に戻って、太平洋岸を進み、下三原の交差点から左に逸れ、海岸線を走って、千倉町へと至った。今日は、千倉海岸(瀬戸浜)から少し入ったところにある、菜の花温泉「矢原荘」(やわらそう)に泊まることにした。この宿は、民宿と旅館を兼ねていて、左側の新館が旅館、右側の旧館が民宿と建物が分かれている。新館(旅館)の方が料金が高く、1泊2食付10,000円(込別)からとのことだが、私は、旧館(民宿)の方に、1泊2食付 7,350円(込込)で泊まった。あまりかまわない民宿の方がのびのび出来て良い。部屋に荷物を置くと、すぐに浴室へと向かった。菜の花温泉と言うだけあって、浴室の中は黄色に統一されていて、洗面器まで黄色い。なんかちょっと意表を突かれたような感じだ。ゆったりと湯に浸かって、旅の疲れを癒した。上がってきてから、しばらく部屋で休んでいたら、夕食に呼ばれた。食卓には、刺身(イカ、マグロ、タイ)、エビ焼き物、サザエ壺焼き、トリ団子鍋、天ぷら、サトイモとフキ、酢の物、漬物など、新鮮な海の幸も盛りだくさん。この低料金で、これだけ出してくれれば充分で、お酒もたのんで、美味しく飲みかつ食べた。
★菜の花温泉「矢原荘」(民宿)宿泊<1泊2食付 7,350円(込込)>
*2002年2月3日(日) 南房総白浜温泉→南房パラダイス→岩婦温泉→帰途 ・雨中の出立 翌朝は、雨が降り続いていたので、散歩をあきらめ、朝風呂の後、朝食をとる。9時前に出発し、雨の中を房総半島の先端、野島崎へと向かった。途中、きれいに花の咲いているところも有ったが、雨のため通過するしかない。それでも、せっかくここまで来たのだからと駐車場に車を停め、傘を差しながら野島埼灯台へと向かった。残念ながら、悪天候のため灯台へ上ることはできず、仕方がないから周辺の写真を数枚撮っただけで、引き上げてきてしまった。
その後、西へ少し走って、雨を避けて南房総白浜温泉「ジャングルパレス」に入浴した。根本海岸の高台に建ち、ヤシの木に囲まれた南国風のホテルだ。眼下に太平洋を見晴らすロケーションはすばらしい。ここの名物は150坪もある大ジャングル風呂なのだ。入口のカウンターで入浴料680円也を払って、浴室へと向かった。中にはいると、広いスペースに温室のように熱帯植物が生い茂り、その影に浴槽が点在している。源泉風呂・露天風呂・打たせ湯・薬延寿湯などいろいろとあるが、南国ムードで入浴できるのが売りと言ったところだ。ただ、露天風呂は本来なら、すばらしい太平洋を見渡しながら入浴できるはずが、雨にかすんでしまっていたのが残念でならない。たまには、趣向を変えて、こういう南国ムードの温泉も良いかも知れない。天気の良いときに露天風呂から、すばらしい太平洋を望みながら入浴してみたいと思った。
★南房総白浜温泉「ジャングルパレス」に入浴する。<入浴料 680円>
・「南房パラダイス」へ立ち寄る 雨が降り続いていて、海岸線を散策する気にもなれず、こういう時は、屋内の施設でも見学するしかない感じだった。そんな時に、たまたま「南房パラダイス」(現在はアロハガーデンたてやま)の看板を見つけたので、入ってみることにした。以外に大きな施設で、パンフレットには、面積145,000平方m、約5,000種の植物を保有する日本屈指の植物園で、長さ300mの連続温室(11棟の温室を結ぶ)には、熱帯地方の観葉植物、草花等の珍しい植物が室内いっぱいに展示されていると。また、約300もの蝶が放し飼いになっていて、四季を通じて観察できるとも書いてあった。偶然立ち寄った施設にしては、見応えがありそうだ。まだ、雨は降っているものの、温室が続いているのでそれを伝わっていけばそんなに濡れなくてもすみそうだ。そうやって、中に入っていったが、鮮やかな花が咲くハイビスカス、ブーゲンビレア、フラワーホールなどの温室や熱帯果樹(マンゴ、パパイア、バナナ、カカオなど)、シダ、サボテン、熱帯花木の温室や熱帯の色鮮やかな鳥達が飛び回る温室などがあってほんとうにみごとだ。高さ20メートルの大温室には、ヤシ類やタビビトノキなど大型植物が植栽されていて、ジャングルをイメージしている。また、シンガポール国立植物園と姉妹提携の記念に建てられたシンガポールらん館には、2体のマーライオン(シンガポールのシンボルで上半身がライオンで下半身が魚という伝説上の動物)の像があって興味を引いた。その他にも蝶館では、人工飼育された、たくさんのリュウキュウアサギマダラが飛び交い、肩にとまるものもいて、間近で見ることも...。あまり逃げないので、マクロレンズを使って、アップでカメラに収めた。ちょうど特別企画があって、珍しいツマベニチョウの羽化の瞬間を見られたのは感動的!サナギが徐々に羽化していく、生命の誕生の瞬間は実にすばらしい。
それからは、館山市内で昼食後、国道127号線を北上して、岩婦温泉へと向かった。富山町に入って、岩井駅の手前から右折して少し内陸に進む。さらに看板で右折して、車一台がやっとというアクセス道路で岩婦湖へと至るのだ。その湖畔に、点在して昔は3軒の宿があったそうだが、1つつぶれて、今では、「伏姫荘」と「岩婦館」のみになってしまったとのこと。今回は、手前にある「伏姫荘」に立ち寄り入浴した。ここから近い富山は、滝沢馬琴著『南総里見八犬伝』の舞台となった山で、伏姫と八房が暮らしたとされる「伏姫籠穴」などゆかりの地が数多い。この旅館の名前もそれに因んだものであろう。玄関で案内を請うと女将さんが出てきて、入浴料700円を払って、2階の浴室を教えられた。男女別の内湯のみだが、ここからは、湖がよく見えて良い。お湯は、源泉15℃の単純硫黄泉(硫化水素型)で、沸かしてはいるが、結構硫化水素臭がする。湯は黒ずんでいて滑らかで、入りやすい湯だと思う。しかし、ここは完全に忘れ去られたような観光地だ。私は、そんな雛びた感じがとても好きで、昭和初期に高峰三枝子が歌って大ヒットした歌謡曲『湖畔の宿』の歌詞「山の淋しい 湖に 一人来たのも 悲しい心 胸の痛みに 耐えかねて....」が浮かんできて、妙に懐かしい気分がした。もっともこの歌は、榛名湖を歌ったものらしいが...。
★岩婦温泉「伏姫荘」に入浴する。<入浴料 700円>
・菱川師宣記念館を見学 入浴後は、再び国道127号線に戻って、帰途についたが、途中鋸南町の菱川師宣記念館にも立ち寄っていくことにした。この記念館は、浮世絵の始祖・師宣にちなみ浮世絵を専門に展示する日本でも数少ない美術館とのこと。師宣は、この町の保田の出身で、16才頃京都で学び、江戸で独自の浮世絵の領域を切り開いたそうだ。一般には、「見返り美人」の作者として知られているが、記念館前にはこの銅像も建てられていた。館内には第1展示室、第2展示室、第3展示室があり、師宣の作品では、地元に伝わった唯一の作品「のぼり龍図」(内筆画)をはじめ、浮世絵の名作など約200点の作品や資料が展示されている。また、ハイビジョンテレビで、師宣の作品を見ることも出来、浮世絵のすばらしさに触れて、なかなか興味深かった。
・帰途につく その後は、わき目もふらず、走りに走り、館山自動車道も使って、やっと自宅に帰り着いたが、渋滞にもぶつかり、長時間の連続運転で疲れてしまった。しかも2日目の日曜日は、一日中雨の最悪のコンディションで、あまり良い写真が撮れなかったのは残念だ。ただ、美味しい海の幸を賞味できたのと5つの温泉にしっかり入って、リフレッシュ出来たのは良かったかな...。 |
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