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微温湯温泉(福島県)旅館二階堂の茅葺き屋根 |
◯正解です! |
◇問題(9)の解答
まず、湧出時の泉温が56℃ですので、それだけで立派な温泉と言えます。もし、含有成分がどの基準に達していなくても単純温泉と名乗れます。しかし、成分をよく見てみると、溶存物質総量(ガス性のものを除く)が1577r/sとなっていて、泉水1sあたり1gを越えていますので、塩類泉としての泉質名がつきます。これは、“陽イオン名−陰イオン名“の形で表されますので、それぞれの主成分を見てみると、陽イオンではナトリウムイオンが、93.04ミリバル%と断然トップです。陰イオンでは炭酸水素イオンが、74.71ミリバル%でトップですので、“ナトリウム−炭酸水素塩泉“と考えていいように思いがちです。しかし、ここで副成分を見てみる必要があります。ミリバル%で20%以上の成分は副成分として、主成分の次に表記しなければならないからです。陽イオンでは、それに該当するものがありませんが、陰イオンでは塩素イオンが、23.43ミリバル%含まれていますので、これを表記して“ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉“としなければならないのです。これで終わりかとい うと、あと特殊な成分をチェックしなければなりません。7種類(遊離二酸化炭素、銅イオン、総鉄イオン、アルミニウムイオン、水素イオン、総硫黄、ラドン)の特殊な成分が規定以上含まれている場合には、それも表記しなければならないからです。この場合にはそれに該当するものがありませんので、やっと“ナトリウム−炭酸水素塩・塩化物泉“の泉質名が確定することになります。ちなみに、これを旧泉質名で表してみると、「含食塩−重曹泉」となります。
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【温泉の判定】 温泉法第4条では温泉井の掘削の許可、不許可の基準について規定されていますが、その一つとして成分への影響があるかどうかが判断されます。その時の基礎データーとなるのが温泉分析書で、環境庁によって様式が決められていて、国公立の衛生研究所、大学など環境庁長官の指定を受けた機関しか作成できないことになっています。それによって、温泉の判定、泉質の決定がなされることになっています。それでは、以下のような温泉分析書があったとして、これは温泉と判定されるでしょうか?また、温泉ならば、泉質名は付けることができるでしょうか?
温泉分析書 源泉名:○○○温泉
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(1) | 調査機関及び試験者 | : | ○○○○研究所 氏名 ◇◇◇◇◇◇ |
(2) | 調査及び試験年月日 | : | 昭和XX年XX月XX日 |
(3) | 源泉温度 | : | 15.04℃ (気温10℃) |
(4) | 湧出量 | : | 90g/分 |
(5) | 知覚的試験 | : | 無色澄明、臭味、収斂味、僅かに硫化水素臭 |
(6) | PH値 | : | 6.8 |
(1) | 試験機関及び試験者 | : | ○○○○研究所 氏名 ◇◇◇◇◇◇ |
(2) | 分析終了年月日 | : | 昭和XX年XX月XX日 |
(3) | 知覚的試験 | : | 微黄褐色、臭味、収斂味、僅かに硫化水素臭 |
(4) | 密度 | : | 0.9982(15℃) |
(5) | PH値 | : | 6.8 (ガラス電極法) |
(6) | 蒸発残留物 | : | 71r/s |
(1) 陽イオン | (2) 陰イオン | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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(3) 遊離成分 | (4) 溶存ガス成分 | |||||||||||||||||||||||||||||
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溶存物質総量(ガス性のものを除く) : 138.3r/s | 成分総計 : 166.5r/s |