平成時代の2006年(平成18)2月3日に、疎水(灌漑・給水・発電などのために、新しく土地を切り開いてつくった水路)についての理解を深め、国民全体でその保全活動を行っていくための取り組みの一環として、農林水産省が実施。国民からの一般投票と選定委員会による評価とを合わせて選定されたものです。日本の農業を支えてきた代表的な用水を選定して、用水によりもたらされる“水・土・里”(みどり)を次世代に伝え、日本伝統の景観として美しい疏水の価値を見直し、その保全を推し進める目的でした。全国からの22万票を超える投票を経て、選定委員会で、@「農業・地域振興」食料の安定供給や地域の農業振興に効果を発揮したものや、農業用水に加えて、産業や都市の形成など地域振興に効果を発揮したもの。A「歴史・伝統・文化」歴史的・文化的な施設を有するものや、水を巡る伝統儀式や習慣が残っているもの。また、築造にまつわる由緒、偉人、知られざる歴史を秘めたもの。B「環境・景観」ホタルや水棲生物など、さまざまな生き物が生息する、水質の保全や生態系豊かなもの、あるいは、疏水のある農村景観の美しいもの。C「地域コミュニティの形成」洗い場や散策路等として地域の日常生活に欠かせない施設として利用されているもの、また子供から大人まで男女の参画による保全活動の盛んなもの。の4つの視点を基準として、全国の疏水の中から110ヶ所が選ばれています。選定委員は、猪口邦子(上智大学法学部教授)、太田信介(水資源機構副理事長)、織作峰子(写真家)、古谷堯彦(全国地方新聞社連合会副会長)、佐治信忠(サントリー社長)、中村桂子(JT生命誌研究館館長/農村環境整備センター理事長)、林良博(東京大学大学院教授)、平野啓子(キャスター・語り部)、柳澤秀夫(NHK解説委員)、養老孟司(東京大学名誉教授/オーライ!ニッポン会議代表)の各氏が務め、計4回の選定委員会を経て決定されました。
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