旅日記(3)立山・黒部アルペンルート(富山県・長野県) |
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*1997年11月2日(日) 黒部渓谷→上市鉱泉・上市鉱泉に泊まる黒部渓谷鉄道のトロッコ電車の旅を終え、予定通り、18時前には今日の宿に入ることができたが、意外に立派な構えの旅館だ。通された部屋もきれいで、八畳間に縁側が付き、三畳の二の間まであって、一人ではもったいないような所だ。さっそく入浴することにして、別館中浴場に向かったが、他に大浴場もあるようだ。しかし、これもなかなか立派な岩風呂で、湯もやわらかく、入り心地が良くとても気に入った。ゆっくり温まって出てきたら、すぐに食堂での食事となった。鳥鍋、刺し身、てんぷらに、カニまで付いている。この料金にしてはなかなかのもてなしだ。お酒を冷やで2合たのんで、美味しく飲みかつ食べて、満足して部屋に引き返した。後は、本を読み、テレビを見ながら寝てしまった。 ☆上市鉱泉に泊まる。<1泊2食付 7,300円(込込)>
*1997年11月3日(月)上市→立山・黒部アルペンルート→大町温泉→自宅・朝、上市の街をぶらぶらと朝6時に起床し、6時半から恒例の朝の散歩に出掛ける。上市駅に立ち寄ってみると、駅ビルに警察が来ていて、色々と調べている。どうやら、昨晩、泥棒がゲームコーナーに進入したようだ。駅員が心配そうに見つめていたので、早々に立ち去ることにして、駅前の道を真っ直ぐに歩いていった。しばらくすると、古い町並みと交差していたので、そちらの方へ右折して、あてもなくぶらぶらと進んでいった。私は、こういう落ちついた町並みが好きだ。なんだか、人間の生活が感じられる。新聞配達が通りすぎたり、お年寄りが店の前を掃除していたりする。町中に小さな神社や寺があって、立ち寄ってみたくなる。そんな散策を30分くらいして、再び旅館に戻ってきた。ちょうど7時から朝風呂に入れると貼り紙がしてあったので、昨日と同じ、浴場にでかけた。とても良い気分で上がってきて、ふと案内表示を見ると大浴場がこの奥にあると矢印がある。それに沿っていってみると、はたして広々とした大浴場があったが、朝風呂はやっていなかった、昨夜入っておけばと残念に思った。7時半から朝食をとり、8時前には宿を出て、駅へと向かった。
・立山・黒部アルペンルートへ出発まだ、昨晩の泥棒の現場検証が行われているようで、警官がうろうろしているが、それを尻目に8時12分発の普通に乗ることにした。ここの駅はスイッチバックになっていて、来る電車は皆方向を変えて出ていく。富山行き普通に乗り3駅目の寺田で乗り換えて、立山駅に向かう。今日はとても良い天気で、車窓ののんびりした風景も心地よい。しばらく田園地帯を揺られていたら、だんだん山中に入ってきて、勾配がきつくなったのか、車両のきしむ音がやたらにするようになって、立山駅に滑り込んでいった。ここからはケーブルカーに乗り換えて、立山黒部アルペンルートの始まりだ。先ず、黒部湖までの乗り継ぎ乗車券を購入して、ケーブルカーの順番を待ったが、人は多いもののそれほどの混雑でもなく、次発に乗り込むことができた。車内は満員だったが、一番最後に乗り込み、一番下の窓際に陣取った。ここがケーブルカーの最も眺望の良い場所なのだ。ここの勾配はきつく最大29度になるとのことで、上るにしたがって、下方に大パノラマが展開する。富山平野まで望めて、すばらしいの一語に尽きる。沿道には消え残った雪が見えるようになってきた。気がつくと、車内にはスノーボードを持った若者もいる。室堂あたりはもうウィンタースポーツの季節になっているのか……。
・雄大な立山連峰を見ながら行く そんなことを考えていると、もう美女平駅に着いてしまった。ドアが開くとすぐかけだして、9時40分の室堂行き直行バスの先頭に並んで、運転席左の最前列に座席を占めた。ここからの道路は一般車両の通行は禁止されていて、曲がりくねった2車線の道をバスが喘ぎながら上っていく。そうとうな傾斜がある上に、途中からは道に雪が残り、一部凍結しているところも出てきた。そこにはもう完全な冬の世界が展開していて、雪原の向こうに立山連山が真っ白な頂を見せている。天気は快晴!すばらしい自然美が見渡すかぎりに広がっている。さすがに観光用の路線だけあって、天然記念物の杉や称名滝展望所などのスポットではバスを徐行してくれる。しかし、路面が凍結していて、すべるのではないかとはらはらしてしまった。弥陀ケ原まで上ってくると、積雪はかなりのもので、一面の銀世界がどこまでも続いている。バスは路面凍結したヘアピンカーブの連続を右に左にハンドルを切りながら進む。とても、自分の車では運転したくない道だ。先頭の座席ではらはらしながら運転手を見つめ、白銀世界の大パノラマに感嘆している内にバスは室堂ターミナルに入ってきた。こんな良い天気に、すばらしい景色が展開しているのに、このままトロリーバスに乗り継ぐのはもったいないと思って、ターミナルビルの外に出てみたが、普通の革靴では歩くのもままならない。さっそく、すべってころんでしまった。それでも慎重に足を運び、雪をさくさくと踏みしめながら室堂山荘の近くまで歩いていった。ほんとうにすばらしい天気で、この時期にこの冬景色を堪能できるとは………。少し、先の斜面では気の早いスキーヤーやスノーボーダーたちが初滑りを楽しんでいる。なんだか別世界に来たような感じだ。もう少し、あたりを巡ってみたかったが、足元が不安で、結構積雪も深くなってきたので、ここらあたりで引き返すことにした。
・トロリーバスで大観峰駅へターミナルに戻って、ここからはトンネルの中をトロリーバスで行く。1960年代までは東京、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪でも走っていたと聞くが、今ではここの2路線だけでしか走っていないとても珍しい乗り物だ。しかも、全線トンネルの中というのも変わっている。電気モーターで走行し、排気ガスを出さないので、採用されたとのことだが、もぐらのように走って、中間地点で対向車とすれ違い、10分で大観峰駅に着いた。地下駅から展望台に上ってみたら、眼前に真っ白になった後立山連峰が、聳えている。眼下には黒部湖が青い水を湛えている。とてもダイナミックな景観だ。しばしみとれていたら、下方からロープーウェーが上がってきて、その姿が少しずつ大きくなってきた。 ・ロープーウェー、ケーブルカーと乗り継ぐ大観峰駅からは中間に支柱が全く無いという、変わったロープーウェーに乗って一気に高度を下げていった。回りには大パノラマが展開する中を7分で黒部平駅に到着した。もう昼を過ぎていたので、昼食をと思って、レストランへ行ってみたが、満席の札が出ている。仕方がないので、とりあえず黒部ダムまで下りることにした。ここからはまた地中をケーブルカーで行くが、ほんとうにこのルートは色々変わった乗り物に乗り継ぐことができるそれも一つの楽しみだ。5分程の地中の旅でこのルートのハイライト黒四ダムへといざなわれた。
・迫力のある黒四ダム地下駅からトンネルを歩いて出ると、そこにはみごとなアーチ式ダムがあった。かなたに黒部湖をへだてて、白銀の山々が連なっている。下流には深いV字渓谷が刻まれ、この峻険な地形を現している。しかし、人間はこんな山奥にすごいコンクリートの固まりを造形するものだ。その苦労を象徴するかのように、ダムサイトに殉職記念碑像があって、ダムを見つめていた。私は空腹を覚えていたので、その側にあるレストハウスに入って、昼食をすませることにした。たいしたメニューもなかったので、セルフサービスで簡単に食事を取り、その上の3階にあるくろよん記念室にいって、黒四ダム建設の映像を見ることにした。まさに、過酷な自然条件に立ち向かう、男たちの挑戦という内容にまとめられていた。171人という多大な犠牲も払われたとのことだった。
・大町トンネルを抜ける再び反対側のトンネルの中に歩み行って、地下駅から13時5分発のトロリーバスに乗車した。長い大町トンネルの中をバスが走り抜けている。さきほどの映像で知った、トンネル建設上の最大の難所だった破砕帯もなんなく通過して、16分程で扇谷駅へと到着した。そこには今までとは異なる、開かれた空間があって、なんだかホッとした気分になっていた。ここからは、普通のバスに乗って、谷を下り、大町温泉郷へと向かった。
・大町温泉郷で入浴し、温泉博物館を見学大町温泉のバス停で下車し、ちょっと疲れたので、温泉に入って休憩しようと思って、共同浴場の「薬師の湯」へ行ってみた。ここは思ったより規模が大きく、大きな内湯が2ケ所、それに岩作りの大露天風呂と含硫黄泉、含重曹泉、含食塩泉と泉質の違う浴槽や箱蒸し、寝湯などに入れる体験風呂がそれぞれ男女別になっていた。まさに、温泉の博物館といった感じだ。こういう施設もなかなか面白く、色々な温泉を楽しみ、のんびり浸かって、出てきたら、その前にほんとうのアルプス温泉博物館が立っていた。中には、温泉のシステム、設備、効用等がわかりやすく展示してあった。そこで、大町温泉郷がいくつかの源泉を合わせ、集中して管理し、配湯していることを知った。それによると、木崎湖温泉も同じ、源泉であることがわかり、興味深かった。しばし、見学してからそこを出て、再びバスに乗って、大町駅に至ったが、ちょうど15時29分発特急スーパーあずさ10号に間に合った。自由席は混んでいたが、さいわい座席を確保することができ、まどろみながら帰途に着いた。 ★大町温泉郷「薬師の湯」へ入浴する。<入浴料 400円>
*一般的適応症(浴用)
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